300年読み継がれる本
タイムカプセル

タイムカプセル


穏やかな、うららかなお正月。

忙しい時ほどなぜか夜の台所仕事などしたくなるもので、いただきものの芳醇な酒粕(ほんとによい香り♡)と、ふっくらの黒豆でケーキを焼きました。

しょっちゅうおやつを焼いていたのに(と言ってもキャトルキャールしかできませんが 笑)思えば原が亡くなってから、初めて焼いたのでした。少し置いてしっとり落ち着いたところがおいしいのに、彼は必ず焼きたてを楽しみに待っていて湯気の立つのを切ってあげるといつも嬉しそうでした。

オーブンを覗いていたら、知り合って間もない頃初めてプレゼントしたパウンドケーキが、ベーキングパウダーを入れる時手が滑ったか(昔から粗忽)大きく膨らみすぎてとても恥ずかしかったことを思い出しました。もらった彼も思わず噴き出してしまうような、気前のよい膨らみ方でした。

せっかく用意したロンドンバスのボックスにぱんぱんだったケーキ。その時のボックスを彼はたいせつに取っておいてくれて、そこには今でも、一緒に暮らし始めた当時のままごとのような晩ごはんのおしながきとか、私の手紙が詰まっています。

そして剣之助は、こうしてテーブルの下で、おじいちゃんか中さん(私)がごちそうをこぼさないかにゃぁとじっと待っています。

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